ワークスペース・スタディコーナーのある家~アフターコロナの住宅設計

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ワークスペース・スタディコーナーのある家~アフターコロナの住宅設計

デザイン住宅コラム,ブログ

2020/06/23 ワークスペース・スタディコーナーのある家~アフターコロナの住宅設計

新型コロナウィルスの流行により、在宅勤務・テレワークといった働き方が増えてきました。また、学校も休校が続き、在宅でWEB授業を受けるケースが広がってきています。これだけ家族が家にいる時間が増えてくると、住宅のあり方も大きく変わってくるのではないかと思います。

 

その一つとして「もっと個室が欲しい」という声があります。例えば、共働き夫婦が2人とも在宅勤務でWEB会議、2人の子供たちも在宅でWEB授業を受ける・・・それらが同時に行われた場合、互いに音が聞こえる状況だと、一方のWEB会議の音声にもう一方の発言が入ってしまいますし、子供たちも授業に集中できません。そこで音が仕切られた4つの部屋が欲しいということになります。・・・と、さすがにこれは極端な例で、個室を多くつくるとそれだけ家全体の面積も大きくしないと狭苦しくなりますから、コストパフォーマンスも考えなければなりません。

 

個室のニーズがある一方で、リビングやダイニングの一角にワークスペース・スタディコーナーとして使えるデスクスペースがあると重宝するという声もあります。例えば、まだ小さなお子さんがいるご夫妻の場合、在宅勤務しながら家で子供を見るケースがありますが、互いに離れた部屋にいるとお子さんは不安になってすぐ親を呼んでしまいますし、親もお子さんの遊ぶ様子を近くで見られるほうが安心です。また、小学生のお子さんがいるご家庭では、勉強に取り組むお子さんのすぐ近くで親が仕事をしていれば、頻繁に声をかけたり、分からないところを教えたりもできます。(多くの小学生は、親の目が届かないとすぐ勉強をやめて遊び始めてしまうものです・・)

 

本コラムでは、私が今まで設計を手掛けた住宅から、ワークスペース・スタディコーナー等のデスクスペースのある家をいくつかご紹介いたします。

 

 

■事例1(桜台の家)

1階が親世帯、2・3階が子世帯に分けられた2世帯住宅です。3階は、ほぼワンルームのLDKゾーンとなっています。

 

テーブルのあるダイニングの右奥がキッチン、ソファとラグのあるリビングの右奥がワークスペース&スタディコーナーという、いわば「田の字型プラン」となっています。互いのスペースが皆近い関係にあって、すぐ行き来することができます。

 

ソファのあるリビングスペースと、奥のワークスペース&スタディコーナーとは、半透けの造作棚でやわらかく仕切られており、気配は通じながらも、互いが区切られた落ち着いたスペースに感じられます。

 

キッチン側(左手前)がご夫妻のワークスペース、バルコニー側(右奥)がお子さんのスタディコーナー。2つのデスクはそれぞれ独立していますが、互いに様子が分かり会話もしやすい距離感となっています。

 

じつはこのフロアには、もうひとつ隠れたデスクコーナーが・・・。ダイニングから屋上テラスへの階段下には1畳サイズのタタミ小上りがあり、籠ってお昼寝ができるスペースとなっています。

 

中には奥行30cm程度の小さなデスクが造りつけられています。籠って読書もいいな、と思って設計したデスクですが、今のご時世ではパソコン作業やWEB会議に使ってもよさそうです。

 

 

■事例2(和泉の家)

1階にLDKスペース、2階に個室がある住宅です。

1階のダイニングは吹き抜けから光が降り注ぐスペースとなっています。

 

キッチン脇(右横)にはデスクスペースがあります。キッチン近くのデスクスペースというのは何かと便利で、ご夫妻がキッチン作業の合間にデスクワークをするもよし、ご夫妻の目の届く位置でお子さんが勉強するもよし、という便利な位置にあります。

 

ダイニングから吹き抜けごしに2階を見上げると、ガラスごしにスタディコーナーが見えます。ガラスごしなので音はある程度区切れていますが、視線は通るので互いに気配が分かって、お子さんも安心できるのではないかと思います。

 

 

このスタディコーナーは階段を上がってすぐのホール的な位置にあり、家族4人が並んで座ることもできる幅があります。デスク上下に本棚を造りつけています。

 

実はこの2階はスキップフロア的な構成になっています。ダイニングの吹き抜けの天井高さを1.5層分としていることから、吹き抜け上部にあるタタミルームは2階からさらに半層分高い床高さ(ここではそれを2.5階と呼ぶことにします)になっています。(このタタミルームは後ほどご紹介します。)

さて、2階から2.5階へ上がる階段の下にはソファコーナーが設けられていて、ちょっと籠れるスペースで本を読むことができます。この造作ソファは奥行を深めにつくってあり、足を延ばして座ったり、あぐらを組んで座ることもできますので、ノートPCを持ち込んで仕事するのも良さそうに思います。

 

 

このソファコーナーの奥の窓からは吹き抜けごしに1階のダイニングやキッチン、2階のスタディコーナーを見渡すことができます。家族がそれぞれ離れたスペースにいても、互いに様子が分かって安心です。

 

吹き抜け上部(2.5階)のタタミルームは4畳半のスペースで、お子さんが遊んだりするスペースです。奥の少し上がったスペースはロフト収納となっています。

 

2階のスタディコーナーと2.5階のタタミルームとはガラスごしに区切られていて、音はある程度カットできますが、視線が抜けてと気配と様子は分かります。

 

例えばスタディコーナーでご夫妻がお仕事していて、お子さんがタタミルームで遊んでいる・・・そんなシーンでも、互いに邪魔せずに、でも気配は分かって安心して過ごせるのではないかと思います。

 

 

■事例3(荏田町の家)

私の自宅兼事務所です。庭に面した1階がLDKスペースとなっています。

 

LDKスペースの奥にワークスペースがあります。

 

 

ワークスペースは床が2段上がっています。LDKと一室空間ですが、床が上がっているので籠れる感じの落ち着いた空間となっています。

 

ワークスペースにはデスク・吊本棚・背面本棚が全て造り付けられています。椅子に座ったまま立ち上がらなくても、上部や後方の手の届く範囲に十分な収納量がある・・・このコクピットのような空間は非常に使いやすく、重宝しています。

 

 

デスクからはリビング・ダイニング・キッチンに視線が通ります。家族の気配や様子が分かり、会話もすぐにできるので便利です。ただ、今後WEB打合せが増えてくることを考えると、ワークスペースにはガラス引戸などを設けて音をカットできる分節手段があれば、より便利になるのではないかと感じています。

 

 

以上、私が今まで設計を手掛けた住宅から、ワークスペース・スタディコーナー等のデスクスペースのある家をいくつか見てきました。暮らしやすさを求めて様々な変化ある空間やコーナーを設計してきましたが、今後のアフターコロナの住宅のあり方にも大切な要素がここに含まれていたと感じています。今後は、多様なコーナー・スペースを設けて程よく空間のつながりをもたせることに加えて、音を区分したいシーンにも対応できるよう、視線を通しつつ音をカットできるガラス間仕切りやガラス建具をうまく組み込んだプランニングが、大切になっていくのではないかと考えています。

 

 

 

★★併せて読みたいブログ★★

「ワークスペース・スタディコーナーのある家」の新たな事例として、下記ブログもぜひご覧ください。

能ヶ谷の家-各部紹介4~高窓からの光が心地よいスタディコーナー(ワークスペース)

阿久和の家(改修)-各部紹介4~造作ワゴンのパントリー収納とアイランドキッチン

 

 

新井崇文
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